キャリアデザインとは?今求められる理由を具体例を使って徹底解説!
今日のような変化の激しいVUCAの時代において、自らのキャリアを主体的に設計する「キャリアデザイン」は、ビジネスパーソンにとって非常に重要なスキルとなりました。
人的資本経営への注目が高まっている中、社員へのキャリアデザイン支援を行う企業も増えてきており、実際に離職防止やエンゲージメント向上に役立った例も多くあります。また、人生100年時代を踏まえて、社内支援においても、仕事だけでなくプライベートも含めた、人生全体を通したライフデザインの観点を重視する動きが出ています。
本記事では、キャリアデザインの意味、目的、設計方法について紹介します。後半では、企業の人事や育成担当者が、どのように社員のキャリアデザインを支援していくのかについて、事例も交えて説明しています。
「そもそもキャリアデザインとはなにか?」「自社に合った施策を行うために必要な要素について知りたい」と思っている方は、ぜひ参考にしてください。
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そもそもキャリアデザインとは
キャリアとは、「(職業・生涯の)経歴」を意味します。この意味から、将来の積み上げていくキャリアを設計することをキャリアデザインといいます。
キャリアデザインは、自分自身が主体となって自律的に考え、キャリアを構築する意味で使われます。
これは、会社や上司によってキャリアや働き方を決定されるのではありません。
以下では、キャリアデザインを語る上で必要な「キャリアの定義」と「混同しがちな言葉の意味」を整理していきます。
キャリアの2つの定義
キャリアという言葉はよく耳にしますが、実はその捉え方は人によってさまざまです。
ここでは、大きく以下の2つに分けて整理します。
①「仕事」を意味するキャリア
日本人がキャリアと聞くと、「エリート」「仕事での成功」「出世」「キャリアウーマン」などをイメージする人が多いかもしれません。
一般的にキャリアは、職業、職務、職位、経歴、進路という職業的な意味合いで捉えられることが多いです。
②「人生全体」を意味するキャリア
近年、人生全体を意味するキャリアの考え方が広がってきており、ライフデザインとしてのキャリアデザインが語られるようになってきました。
ここで重視されるのは、生涯を通じて自分がどうなりたいかということについて、より広い人生の観点から仕事と他との繋がりを考えることです。
ただ職歴を決めるのではなく、私生活や個人の価値観まで含めた、自分らしく働くために必要な仕事を設計することが、キャリアデザインにおいて重要です。
キャリアパス、キャリアプラン、キャリア形成との意味の違い
「キャリアデザイン」と混同しがちな言葉に、「キャリアプラン」「キャリアパス」「キャリア形成」があります。
以下では、これらの言葉とキャリアデザインとの意味の違いについて説明します。
・「キャリア形成」
仕事を通じて、自分の職業能力を開発する活動。特に、仕事に対して使われることが多くあります。
・「キャリアプラン」
転職や起業等も含めてどう働いていくか計画を立てること。キャリアプランにはプライベートの計画は含まれません。
・「キャリアパス」
企業が従業員に提示する育成の計画。キャリアパスでは社員一人ひとりの主体性はあまり重視されません。
キャリアデザインと比べてみると、意味が職業的な側面に限って使われている、社員に主体性が求められないなどの点で大きく異なることがわかります。
今、キャリアデザインが必要な理由
キャリアデザインの定義や意味を整理できたところで、なぜ現代において必要とされているのかを改めて考えてみましょう。
以下では、その理由を社会、企業、個人の3つの順番で解説していきます。
社会の変化
90年代初頭のバブル経済の崩壊とグローバル化をきっかけに、将来の見通しを立てることが難しい「VUCA(不安定・不確実・複雑・曖昧)の時代」となりました。
教育ー就職ー退職の3ステップが中心だった社会から、転職、起業、副業、学び直しなどが可能なマルチステップの社会へと移行したことで、働き方や労働への価値観が多様化しています。
企業の変化
社会の変化によって、終身雇用制度と年功序列型賃金が崩壊したことで、成果主義の導入や中途採用の強化など、人材の流動性はさらに高まっています。
そのため、企業においては、社員の早期離職の防止やモチベーション・エンゲージメントの向上も大きな課題と捉えられています。
個人の変化
組織の変化によって、同時に、私たち一人ひとりが自ら主体的に考え行動する必要性も出てきており、「自律型人材」であることが求められるようになりました。
このような時代だからこそ、私たちは自分らしさと向き合いながら、「なぜ働くのか」「どのように働くのか」を自分自身に問う必要があります。
キャリアデザインの2つの目的
キャリアデザインの目的は、大きく分けると以下の2つです。
意思決定の「基準」を見つける
キャリアは自分で完全にコントロールできるものではなく、仕事であれば異動や転勤、プライベートであれば結婚や病気など、変化を強いられることが多々あります。
そのとき、複数ある人生の選択肢の中から一つを選ぶときの「基準」があれば、突然訪れた転機も上手く乗りこなすことができます。
将来に向けた行動を明確にする
自分が将来なりたい姿をはっきりとさせ、そこから逆算することで、今後どのようなステップを踏むべきなのか、どのような目標を立てるべきなのかが明確になります。
それによって、自分らしい生き方の実現につながり、日々モチベーション高く、仕事やプライベートに向き合うことが可能となります。
キャリアデザインの考え方とは
キャリアデザインを考える際のポイントは、過去ー現在ー未来の「時間軸」と自分の人生を構成する「要素」をかけ合わせて考えることです。
キャリアデザインでは、ただ将来を考えるのではなく、過去ー現在ー未来を線として考えることが重要です。
また、人生には、ワークイベントとライフイベントの2つの転機(トランジション)があり、これらはお互いが関連しあっています。
例えば、仕事で頑張り過ぎたら、家族との時間が失われてしまったり、趣味を楽しむ心の余裕がなくなってしまいます。
このように、キャリアデザインを行う際には、複合的な視点で考えることが重要です。
キャリアデザインの3つのステップ
では、具体的にどのようなステップでキャリアデザインを行なっていくのでしょうか。
以下では、3つのステップに分けて解説していきます。
① 現状分析
まずは、過去〜現在までを振り返り、「知識・スキル」「行動特性」「価値観」「環境」を整理していきます。
このとき、自分自身で内省することが大事ですが、周囲の人に直接聞いてみたり、信頼性の高い心理テストを使用したりすることも効果的です。
② 目標設定
次に、目標設定として、自分がやりたいこと、自分ができること、自分が周囲から期待されていることを考えます。
ここでは、「Will・Can・Must」というフレームワークが一般的によく使われており、3つの項目をわかりやすくまとめることができます。
③ アクションプランの作成
最後に、目標を実現させるために必要なアクションプランの作成を行います。
今後の将来を完全に予想することはできませんが、人生を左右するポイントを捉えて、どのような意思決定を行えば、目標に近づけるか考えることが重要です。
予測可能でないキャリアイベントもあるので、それを考慮した複数のパターンを用意しておくと、現実での実践に活かしやすくなります。
企業がキャリアデザイン支援のためにできること
キャリアデザインとは、今まさに直面している現実から一旦離れて人生全体のことがらに思考をめぐらせることです。
しかし、変化の激しい現代において、長い将来をイメージすること自体が難しくなっています。
これでは、誤ったイメージを持ったまま、本来重要とされる仕事人生のポイントを軽視してしまったり、もしくは過度に不安を感じてしまったりする事態を招いてしまう可能性があります。
そのため、企業は社員が自分らしい働き方を考えるサポートをする必要があります。
社員一人ひとりが、仕事に対して自分なりの意味を見出し、充実感を持って仕事をすることで、離職防止やエンゲージメント向上にもつながります。
企業のキャリアデザイン支援の具体例とは
企業でのキャリアデザイン支援の具体例としては、以下が挙げられます。
手段は様々ですが、目的や状況に合わせて選択することが重要です。
・キャリアデザイン研修
・キャリア面談
・企業内キャリアコンサルタントによるコーチング
・目標管理制度
・キャリアデザインを支援する福利厚生
キャリアデザイン支援では、キャリアデザイン研修が効果的
キャリアデザイン支援の中でも、キャリアデザイン研修を取り入れている企業は多くあります。
特に新卒や若手社員に対しては、自社のマインドセットの機会として効果的です。
集合研修として行うことで、お互いの交流機会となり、ワーク自体も意見交換を行いながら進められるので理解促進にもなります。
キャリアデザイン研修を行うメリットとは
では、なぜキャリアデザイン研修が効果的なのかをメリットをもとに解説していきます。
社員のキャリア自律を促進
生産年齢人口が減少傾向にある中、ますます一人当たりの生産性が重視されており、企業はその向上に向けて「個人のスキルアップ」など様々な施策に取り組む必要が出てきています。
個人単位で将来どのようになりたいのか、そのために何が必要なのかを考えられるキャリアデザインの力は、現代においてビジネススキルの一つであると考えられています。
そのため、キャリアデザイン研修を行うことは、自走可能な社員の育成に直結し、多くの企業で導入が進んでいます。
社員のモチベーションの向上・人材力強化
現代社会では、自身のキャリアを会社まかせにするのではなく、自ら主体的にキャリアデザインを行っていかなくてはいけません。
しかし、先の見えない不安な状況では、社員一人ひとりが持つ本来の力を発揮できないまま、うやむやに仕事に向き合ってしまうことが危惧されます。
そこで、会社とともに目標を明確化することで、仕事に対する活力も上がり、会社へのコミットメント向上につながります。
社員同士のつながりが生まれる
新型コロナウイルス感染症対策として、リモートワークが当たり前となった現代。
若手社員であれば、同期や先輩社員とほとんど会わないままリモートで働いていることも少なくありません。
キャリアデザイン研修では、お互いの価値観や目標をメンバー同士で共有するため、相互理解を深めたり、交流のきっかけを提供します。
社員の離職防止
キャリアデザイン研修は、ある意味、会社と社員がお互いのキャリア観を共有する場でもあります。
普段の業務の中では言いづらい「〇〇な仕事がしたい」「〇〇なことで悩んでいる」といった一人ひとりの気持ちが分かることで、会社側もサポートがしやすくなります。
会社からのサポートを通して、今まで気づかなかった自社の良さに気づき、むやみに会社を辞職することも防げる可能性が高いといえます。
人生100年時代に対応した働き方の実現
現代では、仕事を人生の一部として考える、より広い意味での「人生全体としてのキャリア」の認識が普及しています。
例えば、仕事を頑張りたい人であれば、心身の健康は不可欠ですが、その健康を維持するためには、1日の中で睡眠の時間をしっかり取ったり、適度にストレスを発散したりすることが求められます。
このように、仕事の効率化を図るためにも、プライベートについての理解を深めることは重要で、普段の業務では意識できない複合的な視点をキャリアデザイン研修は提供します。
キャリアデザイン研修を行う場合の注意点とは
キャリアデザイン研修を実施すれば、前節の効果が得られるというわけでもありません。
しっかりと効果出すためには、以下のポイントに注意して設計する必要があります。
自社の「現状」とキャリアデザイン上の「理想」とのギャップをカバーする
業種・職種的な希望が強い社員の場合、希望とする仕事がなければ、逆に離職を推し進めてしまうきっかけにもなりかねません。
そのため、会社側は、本人の希望を尊重しながら、その人個人が本質的に求めるニーズにあった解決策を調整していく必要があります。
主体性をもった取り組みにするための施策を考える
キャリアデザインは基本的に自分と向き合うため、ワークを行うことが中心となります。
ただ空欄を埋めるだけのワークシートでは、本人のモチベーションも高まらないため、グループで行なったり、1 on 1面談の途中で行ったりするなど工夫が必要です。
キャリアデザイン研修を行うのに適したタイミングとは
HR総研(2020年)が行ったキャリアデザイン研修の実施状況によると、若手向けのキャリアデザイン研修の実施が増えてきていることがわかっています。
特に、キャリアデザイン研修は自社理解の機会にもなるので、早ければより効果的であるといえます。
従来であれば中堅社員向けに行われるイメージの多かった研修ですが、最近では若手の早期離職対策や、シニアのセカンドキャリア支援として実施されることも多くなっているようです。
(参照:HR総研:人材育成(テーマ別研修)に関するアンケート 結果報告(2020年))
ボードゲームで学ぶキャリアデザイン研修『CAREER MAKER』とは
キャリアデザイン研修のメリットやデメリット対策について紹介してきましたが、実際に一から研修を設計することは容易ではありません。
そこで、以下では、弊社研修サービス「CAREER MAKER」についてご紹介します。
「CAREER MAKER」では、インプットとアウトプットを繰り返すことで、現代に必要なキャリアデザインを学びます。
現代に必要なキャリアデザインとは、キャリア=人生全体 と捉え、“仕事”だけでなく家族・健康・余暇などのバランスも考えることです。
従来のキャリアデザイン研修では、講義+ワークのみで、なかなか実践のイメージがつきませんでした。
しかし、CAREER MAKER研修では、講義後にゲーム上でキャリアデザインの疑似体験を行います。
講義で学んだ思考法を実践し自分自身の価値観を理解したうえで、ワークに取り組むことで、受講者は自律的に学習を進めることができます。
『CAREER MAKER』でキャリアデザインを学ぶメリットとは
リアルな疑似体験でキャリアを自分ゴトに
講義やゲームは20本以上の論文/文献をもとに作成しています。まるで自分の別の人生を体験しているような感覚でより当事者意識をご提供します。
受講者同士や会社でキャリア観を共有
研修中、受講者同士で学びを共有します。他者の「新たな視点」や、同僚の「共感」などで、チームとしてのキャリア意識が向上します。
自社に合わせたプログラムを設計可能
オンライン / オフライン問わず、自社で起こりうるリアルなキャリアイベントをゲームのイベントカードに反映することができます。
まとめ
本記事では、「キャリアデザインが今求められる理由」をテーマに、キャリアデザインの意味や目的から具体的な実践方法に関して解説してきました。
社会の変化に対応できる「自律型人材」の必要性は非常に高まっています。その中でも、キャリアデザインはその変化に対応するための骨格となるスキルです。
普段あまり考えることのないキャリアについて、会社がそのための時間を取ることは、自社の社員にとっても、社会全体にとっても大きなメッセージとなります。
ぜひ社内でのキャリアデザイン支援について関心のある方は導入をご検討されてみてはいかがでしょうか?
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