キャリア自律の促進で内発的動機からのキャリア転進を。ソフトウェア改革に取り組むデンソーの人材開発支援。 - CAREER MAKER(キャリアメーカー)

導入企業インタビュー

キャリア自律の促進で内発的動機からのキャリア転進を。ソフトウェア改革に取り組むデンソーの人材開発支援。

先進的な自動車技術、システム・製品を提供する、日本を代表するグローバルな自動車部品メーカーである株式会社デンソー様では、モビリティエレクトロニクス技術者のキャリア開発支援の取り組みである「Career Innovation Program」推進の一環としてキャリアメーカーをご導入いただきました。

 

株式会社デンソー

ソフトウエア統括部 ソフトキャリア支援室 SOMRIE推進課

山下 浩行 様 美濃部 大介 様

 

これまでのキャリア支援に関する取り組み

キャリアメーカー編集部(以下、編集部):

キャリア支援に関するこれまでの取り組みを教えてください

 

山下様:

モビリティ産業が置かれている変革に対して、当社が推進している施策に、PROGRESSがあります。一人ひとりが実現力のプロ集団となり、変革を成し遂げていくものです。この中でも変化の大きなモビリティエレクトロニクス領域の技術者に向けた施策として Career Innovation Program を推進しています。

 

このプログラムの中核には、実現力のプロとして、高い専門性を発揮する技術者をデンソーグループを挙げてSOMRIE™として認定していくSOMRIE™認定制度があり、これを支える諸制度全体をCareer Innovation Programとして推進しています。

 

美濃部様:

従来、配属先職場で働くために、その職場に求められる役割すなわち、ジョブロールを果たすことで、一人一人がスキルを磨いてきました。しかし、それらスキルは、他の職場では適用できないケースもあります。いわゆる、キャリアのサイロ化です。

確立した事業環境下で質と効率を高められるキャリアのサイロ化は、反面、事業環境の変化に弱いという問題を抱えています。

 

このなかで、Career Innovation Programは一人ひとりのキャリア自律を促します。ジョブロールの構成要素となる最小単位に分解可能な基本能力をケイパビリティと定義しています。特定の事業文脈、製品に依存しない能力です。一人ひとりが日々の業務でジョブロールを担いつつ、ケイパビリティを意識して研鑽することで、事業環境の変化にも対応する専門性を自身のキャリア資産として形成します。これによって、個人と事業の環境追従性を確保していきます。

このなかで、高いケイパビリティを有している個人を「SOMRIE™」として認定しています。

 

また、SOMRIE™を目指す個人を支え、事業成長と連動させていく仕組みとして、5つの活動からなるサイクルを展開しています。

これら5つのサイクルを活用することで社員の皆様が自律的にキャリアを描き、開発していける環境を提供しています。

 

キャリア支援において大事にしていること

編集部:

キャリア支援において大事にしていることはありますか?

 

山下様:

キャリア形成の要因として組織と個人を観た場合、従来、組織が強い影響力を有してきたと捉えています。健全なキャリア・専門性の形成が、環境変化に強いというのは先に述べた通りです。このバランスを確保するためにも、個人に寄り添うということを基本スタンスとしています。そのうえで、個人の内発的動機を喚起することを大事にしたいと考えています。

 

美濃部様:

個人が主体的に行動できる状態を大事にしています。会社から「こうしてほしい」と言われると、その指示にばかり目が向いてしまいがちですが、個人として何がしたいか考えた上でキャリアデザインをしてほしいと考えています。

目標と現状を2次元で捉えるのではなく、もっと広い視野で立体的に考え、どの選択肢を選ぶか決めてほしいと思います。その上で、広い世界で目標を設定し、どのくらいの期間でどれだけの成果を上げられるか判断していただきたいです。

 

そうすることで、「自分にはこれが足りていない」「このスキルがほしいけれど、どうすれば身につくのかわからない」といった、会社から指示されたことだけをしていては見えてこなかった部分が明らかになっていくと考えています。

そして、これを支えるのがCareer Innovation Programだと考えています。

 

キャリアメーカーを導入した背景や目的

編集部:

キャリアメーカーの導入の背景、目的は何だったのでしょうか?

 

山下様:

個人が実現力のプロであり、また、事業として環境変化に対応していくため、我々は考えられる合理的な施策としてCareer Innovation Programを提供していますので、これを、一人ひとりが適切に理解し、キャリア開発に”いいように”活用してほしいと考えています。

キャリアデザインに関する研修はほかでも提供されておりますが、キャリア理論と内省を重んじるものが多いです。これは非常に重要な要素だととらえています。

 

一方で、我々が提供しているCareer Innovation Programは、キャリア開発の実践を支えるために新しい制度をいくつも織り込んでいます。新しい制度の活用において、知識としてインプットするだけでは主体的利用に結びつけるのは容易ではないです。

自動車の運転教習のように理論・知識と体験をセットで提供できることが条件の一つでした。基礎となるキャリア理論に加えて我々の提供する制度にかかわる知識、個人のキャリアの文脈に合わせてこれらを活用する体験ができる研修を探索していました。

 

キャリアメーカーはWii/Can/Mustや4S理論に基づいた理論に関する学びを持ちつつ、キャリアの中で発生するイベントでこの理論の実践を経験できる。ここに、実践の選択肢として、キャリアイノベーションプログラムの諸制度の利活用も織り込めることが決め手となりました。

研修の中で仮想的ではありますが、キャリアイベントに遭遇した時に自分はどう判断し行動するのか、その時に、Career Innovation Programの諸制度をどう活用できるのかを経験できます。日々の出来事や面談、転機に遭遇した時に、その経験が本人にとって最善の判断と行為として現れる。これを狙っています。

 

編集部:

ちなみに今回の受講対象はどのような方々だったのでしょうか?

 

山下様:

現在は中堅層、特に30代をターゲットにしています。30代前後はキャリアの自律が重要となる時期であり、いわゆる「キャリアの踊り場」に差し掛かりやすい時期でもあるためです。

 

実際に研修を実施してみてよかった点や感想

編集部:

実際に研修を実施してみてよかった点、感想をお聞かせください

 

山下様:

改善しながら展開している現状ですが、受講者のアンケートは常に高評価で推移しています。

NPS(他の方に紹介したいと思うか」という項目も、高いレベルで推移しています。

特に、カスタムの核として織り込んだSOMRIE™認定制度に関しては、受講後に「これからSOMRIE™を目指そうと思うようになった」という参加者が常に高い割合で出ており、これは他の手段では実現が容易ではない成果だと考えています。
また、研修後のアンケート集計は、随時アップデートして公開しており、これも奏功して、参加者による口コミだけでなく、ユーザ部署のライン長からメンバへ紹介等の形などでも、徐々に広がっている状態です。

 

イベントのカスタマイズについても、実施のたびに振り返り、受講者により深く体験・理解いただくためにはどうすればよいか、NEXERA社の豊富な経験とノウハウを共有いただきながら、改善しつづけることができています。私たちがやりたいことに対して、文脈のみならずニュアンスに近いレベルまで捉えて提示いただけることはとてもありがたいです。

 

美濃部様:

弊社がCareer Innovation Programで掲げている制度に参加し、活用していただくという点では、まだ課題が残っている部分もありました。キャリアメーカーを受講した方々からは、「制度をよく理解できた」「ぜひ活用したい」といった声が多く上がっており、研修に採用して良かったと感じています。

 

例えば、キャリアプランデスクの活用について、研修を受けた方の中から、自らキャリアプランデスクに足を運び、「自分はこうしたい」という明確な意思を持って相談いただく方も現れるようになりました。受講者が自分ごととしてキャリアを考える姿勢が見られたこともよかったです。

 

キャリアデザインを体験しながら考え、実践的に学び、キャリアデザインの作法がインプットされた状態でCareer Innovation Programの諸制度をイベントとして組み込むことが自分のキャリアデザインとCareer Innovation Programの活用が紐づいたのではと考えています。

その結果、研修後に「自分のキャリアデザインにCareer Innovation Programを活用しないと損」と意識するようになり、制度を積極的に活用したいという方が増えたのだと考えています。

 

実際に受講者の方々からはこのような声をいただいています。

・頭の中で何となく理解していたつもりの概念が可視化されゲームの中で疑似体験することができ、具体的に理解、想像することができた

・デンソー内の制度を位置づけやどんな思いで設けられているかも理解できてよかった

・自身のキャリアの現状地と目標値を設定してそのギャップを認識することで、戦略的・合理的な意思決定ができるようになることを体感できた。

 

今後のNEXERAに期待すること

編集部:

今後、当社の研修に期待することはありますか?

 

山下様:

現在は、受講ターゲットをキャリア開発する本人に置いていますが、例えば現場におけるキャリア支援者である管理職に広げていくことで、職場単位でもキャリア開発を支える状況を作り出していきたいと考えています。ターゲットとする受講者の属性も変化していくので、それに対応したカスタマイズに期待したいです。受講者にとって最善のカタチで価値提供できるよう、引き続き協力いただきたいと考えております。

 

今後目指す組織像

編集部:

今後目指す組織像はありますか?

 

山下様:

実現力のプロ集団」というところに尽きると考えています。

個人が何らかの自分の専門性にプロとしての矜持を抱いている。そのプロに組織が選ばれる。組織には選ばれるだけの魅力を提示し続けられるプロとしてのライン長がいる。この構図であり続けるために努めたいと考えています。

 

美濃部様:

「Society5.0で活躍できるモビリティ人材が集まる、育つ世界を実現する」ことです。

 

山下様:

そのためにも、Career Innovation Programの核をなすSOMRIE™認定制度を広げていきたいと考えています。広く個人がキャリア自律したプロに成長し、自身を成長させられる魅力的な組織・会社を選べる状態を目指したいですし、我々は選ばれる組織・会社である続ける努力をしていきたいと考えています。