キャリアデザインの理論を紹介！キャリア形成に役立つ考え方を解説
昨今はキャリアデザインの重要性が謳われておりますが、実際にキャリアデザインに個人としてもしくは組織として取り組もうと思ってもどのように取り組んだらよいのかわからないことも多いのではないでしょうか。今回は、キャリアデザインに活用できる理論についていくつかご紹介し、実際のキャリアデザインの考え方まで解説していきます。
この記事のポイント！
・変化の激しい現代においてキャリアデザインは重要
・キャリアデザインのアプローチとして、理論から考えることも1つの手法
・あくまで理論は方法の1つであり、目的はキャリアをデザインすること
キャリアデザインの理論とは？
キャリアデザインをする際のアプローチとして様々な手段が存在しますが、キャリアデザインに関する理論も一つのツールとして使うことができます。
今回は、キャリアデザインに関する理論をご紹介し、実際のキャリアデザインのアクションプランまで解説します！
キャリアデザインの定義
キャリアデザインとは、自分のキャリアを計画し、目標を設定し、その達成に向けて行動を取るプロセスを意味します。このプロセスには、自己理解、キャリアオプションの評価、行動計画の立案と実行など様々な要素があります。。キャリアデザインは、個人の職業生活をより充実させるための重要な手段です。また現代キャリアデザイン論においては、人材育成の一貫として企業単位でも取り組むべき手段として注目されており、職業満足度やライフバランスの向上に効果的です。
キャリアデザインが必要とされる理由
現代社会では、技術の進歩や経済のグローバル化、労働市場の変化により、キャリアの安定性が低下しています。そのため、現代社会で生きる人々にとって自らのキャリアを能動的にデザインし、変化に柔軟に対応する能力は非常に重要になりました。社会の変化に応じて、企業としても社員に自発的なキャリアデザインを求めるようになってきています。その推奨する背景には、年功序列や終身雇用に頼らず、社員が自分のキャリアを自責的に描くことで、欧米型の「自己責任」「契約社会」への適応を図る意図があると考えられます。
キャリアデザインは、以下の理由から重要視されています。
職業満足度の向上：キャリアデザインを通じて、自分に合った職業や働き方を見つけることで、職業満足度が向上します。
ライフバランスの改善：キャリアデザインは、仕事とプライベートのバランスを取るための手段として機能します。
職業スキルの向上：計画的なキャリアデザインは、必要なスキルの習得やキャリアアップに繋がります。
経済的安定：自分のキャリアを計画的に進めることで、長期的な経済的安定を図ることができます。
主なキャリアデザイン理論
以下ではキャリアデザインに関する理論をいくつか紹介していきます。
キャリア発達理論
キャリア発達理論は、個人のキャリアが生涯にわたって発達していく過程を説明する理論です。この理論は、キャリアが一連の段階を経て発展していくと考えます。それぞれの段階には、特定の課題や挑戦が存在し、それを克服することでキャリアが次の段階へと進みます。
主な提唱者とその理論の詳細
キャリア発達理論の代表的な提唱者には、ドナルド・スーパーとエリック・エリクソンがいます。
ドナルド・スーパー：スーパーはキャリアを「生涯にわたる発達」と捉え、キャリア発達のライフスパンアプローチを提唱しました。スーパーの理論は、成長、探求、確立、維持、解放の5つの主要なキャリア発達段階を提唱しています。
エリック・エリクソン：エリクソンは、人間の発達段階を8つに分類し、各段階での心理社会的課題を提唱しました。これらの課題はキャリア発達にも影響を与えるとされ、自己同一性の確立がキャリア選択に重要な役割を果たすと考えられています。
計画的偶発性理論
計画的偶発性理論は、ジョン・D・クランボルツによって提唱された理論で、キャリア形成における予期しない出来事や偶然の機会が重要な役割を果たすとする考え方です。計画的偶発性理論は、偶然の出来事を積極的に活用することで、キャリアの発展を図ることができると主張しています。
理論がキャリア形成に与える影響
計画的偶発性理論は、個人が偶然の出来事に対して柔軟に対応し、それをキャリア発展の機会として捉えることを奨励します。これにより、以下のような影響が期待されます。
柔軟性の向上：予期しない変化に対して柔軟に対応する力が養われます。
機会の拡大：偶然の出来事を積極的に活用することで、新たなキャリアの機会が広がります。
リスクテイクの促進：新しい挑戦やリスクを取ることに対して前向きな姿勢が生まれます。
キャリア選択の3段階プロセス
キャリア選択の3段階プロセスは、フランク・パーソンズによって提唱された理論で、個人がキャリアを選択する際に3つの主要なステップを経るとされています。このプロセスは、自己理解、職業理解、意思決定の3段階で構成されています。
キャリア選択のステップとその詳細
自己理解：自分の興味、能力、価値観、性格を理解することが第一ステップです。これにより、自分に適した職業の方向性を見定めることができます。
職業理解：次に、さまざまな職業についての情報を収集し、その特徴や要求されるスキルを理解します。これにより、自分の興味や能力に合った職業を選ぶための基礎が築かれます。
意思決定：最後に、収集した情報を基に、最適な職業選択を行います。この段階では、長期的なキャリア目標や生活環境も考慮に入れることが重要です。
現代におけるキャリアデザインの重要性
現在は特にキャリアデザインの重要性が説かれています。では、なぜそこまでキャリアデザインが重要なでしょうか。現在の労働市場や時代背景を踏まえて、なぜキャリアデザインが重要なのか説明します。
変化する労働市場とキャリアデザイン
現代の労働市場は急速に変化しており、これに対応するためにはキャリアデザインが不可欠です。グローバル化や技術革新、働き方改革などにより、労働環境や職業の在り方が大きく変わっています。このような変化に対応するためには、個人が自らのキャリアを積極的にデザインし、適応していくことが求められます。
キャリアデザインが求められる時代背景
グローバル化
グローバル化により、国際的なビジネスチャンスが増加し、多様な文化や価値観に対応するスキルが求められています。キャリアデザインは、こうした国際的な環境でのキャリア形成を支援し、異文化理解や語学力の向上などを計画的に進めるためのツールとなります。
技術革新
技術革新は、労働市場に大きな影響を与えています。人工知能や自動化の進展により、一部の職業が消滅する一方で、新たな職業やスキルが求められるようになっています。キャリアデザインを通じて、技術の変化に対応し、必要なスキルを習得することが重要です。
ライフスタイルの多様化
ライフスタイルの多様化に伴い、働き方やキャリアパスも多様化しています。フリーランスやリモートワーク、副業など、従来の枠にとらわれない働き方が増えています。キャリアデザインは、自分に合った働き方を見つけ、バランスの取れた生活を実現するための手段です。
キャリアデザインの実践方法
自己分析とは
自己分析は、自分のキャリアにおいてどの方向に進むべきかを見極めるための基盤となるプロセスです。自分の興味、価値観、スキル、強み、弱み、過去の経験などを深く理解することを意味します。自己分析は、キャリアデザインの第一歩として非常に重要であり、正確な自己理解がなければ、効果的なキャリアプランニングは困難です。
自己分析の重要性
適切なキャリア選択：自分に合った職業を選ぶためには、まず自分自身を理解することが不可欠です。
自己成長の促進：自己理解が深まることで、成長のための具体的なステップが明確になります。
モチベーションの向上：自分の価値観や興味に沿ったキャリアを追求することで、モチベーションを維持しやすくなります。
自己分析の手法
1. SWOT分析
SWOT分析は、自分の強み（Strengths）、弱み（Weaknesses）、機会（Opportunities）、脅威（Threats）を整理する手法です。これにより、自分の内面と外部環境の両方をバランスよく理解できます。
強み（Strengths）: 他人よりも優れている点、得意なスキルや知識。
弱み（Weaknesses）: 改善が必要な点、他人より劣っている部分。
機会（Opportunities）: 活かせる外部のチャンス、新しい市場やトレンド。
脅威（Threats）: 直面する外部のリスクや障害、競争相手の存在。
2. 自己診断テスト
市場には多くの自己診断テストが存在します。これらのテストは、客観的なデータに基づいて自己理解を深める手助けをします。
MBTI（Myers-Briggs Type Indicator）: 性格タイプを16に分類し、自分の性格傾向を知る。
ストレングスファインダー：自分の強みを34の資質から特定する。
キャリアアンカー：自分のキャリアの中心となる価値観や動機を明らかにする。
3. リフレクション
リフレクション（内省）は、過去の経験を振り返り、自分の行動や考え方を分析する手法です。
成功体験の振り返り: 過去の成功体験を思い出し、それがどのようなスキルや特性に起因するかを分析する。
失敗体験の振り返り: 失敗から学んだ教訓や改善点を洗い出す。
4. フィードバックの活用
他者からのフィードバックを積極的に受け入れることで、自分では気づかない強みや弱みを知ることができます。
360度フィードバック: 上司、同僚、部下からの多角的な評価を受ける。
メンターシップ: メンターからのアドバイスや意見を参考にする。
5. キャリアデザイン研修の導入
キャリアデザイン研修は、キャリアを積極的に計画し、目標を達成するためのスキルや知識を学ぶプログラムです。
弊社が提供するキャリアデザイン研修「CAREER MAKER」もぜひご活用ください。
CAREER MAKER：ゲーム型研修プログラムで様々なキャリアイベントを擬似体験し「楽しんでいたら自己分析ができた」と本質的なキャリアデザインを体験できるプログラムです。
キャリアプランニングの手法
自己分析が完了したら、次に行うべきはキャリアプランニングです。キャリアプランニングは、自己分析の結果を基に、具体的なキャリアゴールを設定し、その達成に向けた計画を立てるプロセスです。
1. SMART目標の設定
効果的な目標設定には、SMART基準を活用します。
Specific（具体的）: 目標が具体的で明確であること。
Measurable（測定可能）: 目標の達成度を測定できること。
Achievable（達成可能）: 現実的な目標であること。
Relevant（関連性）: 自分のキャリアに関連性があること。
Time-bound（期限がある）: 期限が明確であること。
2. アクションプランの作成
目標を達成するための具体的なステップを計画します。
短期的目標: 1年以内に達成したい目標。
中期的目標: 3〜5年以内に達成したい目標。
長期的目標: 5年以上先に達成したい目標。
3. リソースの確保
目標達成に必要なリソースを特定し、確保する計画を立てます。
教育・トレーニング: 必要なスキルを習得するための教育やトレーニング。
ネットワーキング: 業界内での人脈を構築し、情報交換やサポートを受ける。
時間管理: 効果的な時間管理術を学び、計画的に行動する。
4. モニタリングとフィードバック
計画の進捗を定期的にモニタリングし、必要に応じて修正を加えます。
定期評価: 目標に対する進捗を定期的に評価する。
フィードバックの活用: メンターや同僚からのフィードバックを受け入れ、計画を改善する。
ボードゲームで学ぶキャリアデザイン研修『CAREER MAKER』とは
キャリアデザイン研修の手法としてゲーム型研修をおすすめしましたが、それを一から設計することは容易ではありません。
そこで、以下では、弊社研修サービス「CAREER MAKER」についてご紹介します。
「CAREER MAKER」では、インプットとアウトプットを繰り返すことで、現代に必要なキャリアデザインを学びます。
より具体的に、本研修では、キャリア=人生全体 と捉え、“仕事”だけでなく家族‧健康‧余暇などのバランスも考えます。
本研修は、「楽しんでいたら学んでいた」と思えるキャリアデザイン研修になります。
リアルな疑似体験でキャリアを自分ゴトに
講義やゲームは20本以上の論文/文献をもとに作成しています。まるで自分の別の人生を体験しているような感覚でより当事者意識をご提供します。
受講者同士や会社でキャリア観を共有
研修中、受講者同士で学びを共有します。他者の「新たな視点」や、同僚の「共感」などで、チームとしてのキャリア意識が向上します。
全国から参加できるオンライン開催可能
体感研修ですが、時勢に合わせて、全国から参加できるオンライン開催にも対応しています。今必要な学びを、今に合った形式で、提供いたします。
まとめ
キャリアデザイン理論は、自分のキャリアを主体的に計画し、目標を達成するための強力なツールです。本記事では、キャリアデザインの基本的な定義から、主要なキャリアデザイン理論、そして現代におけるキャリアデザインの重要性とその実践方法について詳しく解説しました。
最後に、キャリアデザインは単なる計画ではなく、継続的な学習と成長を伴うプロセスです。自己理解を深め、目標を明確にし、それに向けた行動を取り続けることで、充実した職業生活とバランスの取れたライフスタイルを実現することができます。今後のキャリアデザインのトレンドを見据え、常に柔軟に対応する姿勢を持ち続けることが、成功するキャリア形成の鍵となるでしょう。